シマノ DEOREグレードのVブレーキ「BR-T610」の制動力はいかほどか? 比較&レビュー

シマノVブレーキ 「BR-T610」 自転車(その他パーツ・アクセサリー)
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今回以前からずっと気になっていたシマノ(SHIMANO) のVブレーキ「BR-T610」を購入した。

後に詳しく紹介するが、これはシマノのMTB(マウンテンバイク)コンポーネントのグレードで言うと、「DEORE(ディオーレ)」グレードのブレーキに当たるということでもおなじみだ。

今でこそクロスバイクでも「油圧ディスクブレーキ」を採用している物が非常に多くなった。
油圧ディスクブレーキの制動力の高さは言うまでもなく物凄く高い。

しかし私のように、Vブレーキを使った「リムブレーキ」のクロスバイクに乗っている方も多いと思う。

まだ油圧ディスクブレーキが主流でなかった頃は、Vブレーキの制動力は最強なんて言われていたものだ。

もちろんVブレーキと言えばMTB(マウンテンバイク)にも使われる。
というより、Vブレーキの発祥はMTBにある。

Vブレーキは、日本のシマノ(SHIMANO)社が1990年代後半にマウンテンバイク用ブレーキとして製品化してから、広く普及していったと言われている。

そしてVブレーキであっても、ノーブランドの物であったり、テクトロブランドの物であったり、様々なブランドのVブレーキがある。

その中でもやはり制動力が高くて評判が良いのは、シマノ(SHIMANO) ブランドのVブレーキだ。
日本が世界に誇る、世界最大手の超一流自転車パーツブランドのシマノ(SHIMANO) 。

シマノ製品はブレーキに限らず、どのパーツの製品であっても物凄く丁寧・精巧に作られており、品質が非常に高い事で有名だ。

今回はそんなシマノ(SHIMANO)Vブレーキの中でも特に評判が良い「BR-T610」を購入し、他のVブレーキと比較もしながら使ってみたのでレビューしようと思う。

評判通りの素晴らしいVブレーキだと感じました。

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シマノ(SHIMANO) Vブレーキ BR-T610

これが制動力が高くて良く止まると、そもそも評判の良かったVブレーキ「BR-T610」だ。

  • フロント(前)用とリア(後ろ)用の違いはブレーキシューの指定方向の向きが異なるだけです。
  • ブレーキ本体は前後共通なので、シューの向きを入れ替えればフロントorリア、どちらでも利用可能。
  • シューホルダー(シュー台座)ごと左右を入れ替えると、指定方向の向きが変わります。

例えば前後両方のブレーキが欲しかったけど、リア用が売り切れだったのでフロント用を二つして購入して対応したという方もおります。

冒頭でも書いたが、昨今は油圧ディスクブレーキのバイクがすっかり定番になっているが、ホイールのリム部分をブレーキシューで挟み込んで制動する「リムブレーキ」のバイクを使っている人も多い。

そしてリムブレーキに使われるブレーキというのはVブレーキの他にも、キャリパーブレーキやカンチブレーキなどもある。

そういった中、リムブレーキで最強の制動力を誇るとも言われてるのがVブレーキだ。

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BR-T610はDEORE(ディオーレ)グレードのブレーキ

シマノのMTB向けコンポーネントのグレードは非常に多くある。

コンポーネントとは、

  • ブレーキ
  • ブレーキレバー
  • シフター
  • ディレイラー
  • クランク
  • チェーンリング
  • スプロケット
  • チェーン

といった、制動系や駆動系パーツの総称だ。
これらのパーツをまとめてコンポーネント、もしくは略して「コンポ」とも言う。

またシマノMTBコンポーネントはグレードだけでなく、用途別にもその種類が分かれる。

シマノにはデュラエース、アルテグラ、105、…といった形で、ロードバイク向けコンポーネントにも数多くのグレードがある。

そのロードバイク向けコンポーネントよりも数多くのグレードがあるシマノMTB向けコンポーネント。

記事執筆時点でのシマノMTBコンポーネントを、グレードの高い方から順にざっくりと書くと次のようになる。

  • XTR
  • DEORE XT
  • SLX
  • DEORE(上位から4番目)
  • CUES
  • ALIVIO
  • ACERA
  • ALTUS
  • Tourney

ここでは大きく分類させて頂きましたが、実際には「CUES」や「Tourney」にはもっと細かい分類があったり、他にも「SAINT」「ZEE」といったダウンヒル用のMTBコンポーネントがあったりもします。

詳しく知りたい方は公式サイトからご確認ください。
※フィルターのグループセットという部分を見ると一覧で確認出来ます。

今回紹介のBR-T610はDEORE(ディオーレ)グレードのVブレーキだ。

最上位の「XTR」から数えて4番目に位置する、中核グレードと言えるのがDEORE。

クロスバイク完成車にシマノのVブレーキが使われている場合も多々あるが、最初からDEOREグレードの物が付いているという事はなかなか無いだろう。

完成車についていたシマノの下位グレードのVブレーキや、テクトロ社のVブレーキ、ノーブランドVブレーキからのグレードアップとして選ばれる事も多いのが、DEOREのVブレーキ「BR-T610」だ。

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ALIVIO(アリビオ)グレードの「BR-T4000」と制動力などを比較

クロスバイクに付いているBR-T4000
これがBR-T4000

年季が入っていて申し訳ないが、画像のように私のクロスバイクにデフォルトで付いていた、同じくシマノブランドのこの「BR-T4000」というVブレーキがある。

シマノ(SHIMANO) Vブレーキ BR-T4000
シマノ(SHIMANO)
シマノパート:EBRT4000FX43XLP

これはグレードで言うとALIVIO(アリビオ)グレードに当たる。
先ほど書いたグレード一覧を見て頂いても分かるが、DEOREよりも下位に位置するグレードだ。

私がシマノブランドのVブレーキの中で初めて使ったのはこれだ。

10年ほど前、それまで安価なVブレーキしか使った事が無かった当時の私が、これを初めて使った時の感動は今でも忘れない。

こんなにも「ピシッ!ピシッ!」と効く、制動力の高いVブレーキが世の中にあったんだなと驚いた物だ。

そしてこのVブレーキとBR-T610との比較をした。

もちろん使うクロスバイクやブレーキシュー、ホイールなど、他の条件は全て同じにしての比較だ。

その結果、次のように感じた。

あ?
変わらんか?
んあ?

予想通りという印象であった。

このBR-T4000はBR-T610と同じようにシマノ製品であり、非常によく売れている評判の良いVブレーキだ。

先述したように私が使ってきた感想としても、BR-T4000はとても軽いタッチで良く止まる、素晴らしいVブレーキだと思ってきた。

なのでBR-T4000とBR-T610の比較では、「ALIVIO」と「DEORE」という形でそのグレードは違うと言えど、大して使用感は変わらないのではと予想していたが、その予想通りであったという印象であった。

違いを挙げるとすれば、時速20キロ以上といったある程度のスピードに乗った状態から強めのブレーキを掛ける際に、BR-T610の方がわずかにピシッ!ピシッ!とキレよく止まってくれるという感覚でした。

と言ってもほんのわずかな違いという印象でした。

とりあえずよく分かった事は、ALIVIOグレードである「BR-T4000」も「BR-T610」に負けないくらい素晴らしいVブレーキであるという事であった。

TB1eにデフォルトで付いていたフロントVブレーキと制動力などを比較(明らかな違いを感じる)

tb1eのフロントVブレーキ
TB1eデフォルトの
フロントVブレーキ

「BR-T610」はブリヂストンの超人気電動自転車とも言える「TB1e」に、グレードアップとして取り付ける人も多い。

TB1eは私も愛用しており、当ブログの過去記事でも詳しく書いた。

Uber Eats や出前館などの配達員からも超人気の電動自転車と言える、非常に有名な車種だ。

TB1eにはフロントにノーブランドのオリジナルVブレーキが使われている(リアはローラーブレーキ)。

公式サイトにも「V型ブレーキ」とだけ書いてあって、特にブランド名は書かれていない。

そしてこのTB1eにデフォルトで付いているVブレーキ、実は評判が良いとは正直あまり言えない。

このVブレーキでは制動力が物足りないという声も多々見てきた。
そして後ろのローラーブレーキも決して制動力が高いとは言えない。

それまで、「前後にシマノブランドのVブレーキが使われているクロスバイクに乗って来た」という方などであれば、TB1eの制動力は物足りないと感じてもおかしくないと思いました。

TB1eデフォルトのブレーキのままでも特には問題無く走れるという印象ではありましたが、制動力の高いクロスバイクなどと比較するとどうしてもピタッ!とは止まらないという感覚です。

だからこそ、制動力アップのためにフロントのVブレーキを「BR-T610」へグレードアップするという方もよく見かける。

そして実際に私のTB1eで「BR-T610」へのフロントVブレーキ交換をし、制動力などの変化を検証してみた。

その結果、ちょっと驚いてしまうくらいに制動力が高くなり、良く止まるようになった。

もちろん人によって感じ方に差はあるとは思いますが、私個人としては明らかに制動力が上がってブレーキレバーの引きも軽くなる、という印象でした。

「BR-T610」の方が「ピシッ!ピシッ!」「ガツンッ!ガツンッ!」と止まってくれる感覚です。

実際、TB1eで同じように交換された方々のレビューや評判を見ていても、ブレーキがよく効くようになったという声が多いです。

「ブレーキ本体のみのグレードアップ」というカスタムは私は今回の比較検証で初めて行ったが、やはりノーブランドのVブレーキから「BR-T610」へのカスタムだと、相当大きな効果が得られると感じた。

あとはTB1eの記事内でも紹介したが、制動力アップのために「ブレーキシュー」もシマノ製品へ交換するという方法がある。

私の場合はTB1eを購入後まもなくして、ブレーキシューをシマノの全天候型ブレーキシューである「M70T4」に交換した。

この交換だけでも一定の制動力アップは合った。
特に雨の日にも対応しているというのは大きい。

TB1eデフォルトのVブレーキにこのブレーキシュー、という組み合わせで2年半ほどの期間運用していた。

私としてはこの組み合わせでも大きな問題は無い、とりあえずは十分な制動力だと感じていたからだ。

しかし今回ブレーキ本体の交換に着手した結果、びっくらこいてしまった。

ブレーキシュー交換よりも大きな制動力アップの効果が得られるカスタムが、「BR-T610」へのブレーキ本体交換であったのだ

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BR-T610には「S70C」というカートリッジ式のブレーキシューがデフォルトで付いていた

BR-T610を購入すると次のブレーキシューも一緒に付いてきた。

私の購入当時ではこの「S70C」という、シューホルダー(台座)にシューはめ込んで運用する、シュー部分のみでの取り外しや交換が可能な「カートリッジ式」のブレーキシューが付いてきた。

もちろんカードリッジ式なので次のように「シューのみ」でも販売されている。
ピンを使って台座から抜いたり止めたりする形だ。

ちなみに「S70C」はドライ(晴れ)の環境での制動力が高いブレーキシューだ。

私が今回の比較検証で使用したのはM70T4(全天候型)という、ブレーキシューと接続金具が一体になった「一体型」のブレーキシュー。

つまりはM70T4は「カートリッジ式」では無い。

M70T4をカートリッジ式にしたのはネーミングは似ているが「M70CT4」の方だ。

「M70CT4」のシューホルダー(台座)付きのタイプは次の物。

次の物はシュー部分のみ。

台座付きのカートリッジ式ブレーキシューというのは基本的に、一体型のブレーキシューよりも初期投資が掛かるお高めの価格設定になっている。

私もずっと一体型のブレーキシューを使ってきた。

しかし今回、BR-T610を購入したら台座付きのカードリッジ式ブレーキシューも付いてきたため、これから私はこの台座を活かしてカートリッジ式のブレーキシューも活用していこうと思う。

改めてカートリッジ式のブレーキシューについて調べると、カートリッジ式のブレーキシューも凄くメリットがあって良いと思った。

カードリッジ式のブレーキシューは、シューがすり減って寿命になり、交換する際には「シューのみ」を抜き取って交換すれば良い。

なのでシューのリムへの当たり方を調整する「位置調整」といった手間が掛からずメンテナンスが楽。

そして交換の際は「シューのみ」で新たな物を購入する事になるため、一体型のブレーキシューよりも少しではあるがよりコストが安く済む。

こういったメリットのあるカートリッジ式のブレーキシューを、これを機に私もこれから使っていこうと思う。

BR-T610に付いてくるシューホルダー(台座)付きのカードリッジ式ブレーキシュー「S70C」のシューを抜き取り、その空いた台座に「M70CT4」を新たに入れるという事も出来ます。

雨の日も乗る、という方には全天候型の「M70CT4」がおすすめです。

音鳴りもほぼしない

これはシマノのVブレーキに共通する事とも言えるが、BR-T610の使用でもやはり音鳴りはほぼしなかった。

音鳴りとはご存知、ブレーキをかける際に鳴る事のある、あの「キー!キー!」という音。

音鳴りに関してはブレーキ本体だけでなく、ブレーキシューが何であるのかも大きく関わってくる。

しかしシマノのVブレーキ本体にシマノのブレーキシュー、という組み合わせであれば音鳴りがする可能性というのは非常に低く出来るだろう。

ブレーキシューの角度を微調整して音鳴りを軽減する、いわゆる「トーイン」を利用せずとも、普通に取り付ければシマノのVブレーキはほぼ音鳴りがしないという印象です。

各Vブレーキの重量について

今回の検証で使用した各Vブレーキの、実測での重量についても紹介しようと思う。
ブレーキシューや、フレームに取り付けする際に利用する左右のボルトを外した状態で計測した。

BR-T610約118g
BR-T4000約118g
TB1eデフォルトVブレーキ約103g
DEORE「BR-T610」重量
BR-T610は
118.8g
BR-T4000の重量
BR-T4000は
118.4g
TB1eデフォルトVブレーキの重量
TB1eのデフォルトVブレーキは
103.7g

シマノのVブレーキはどちらも約118gと変わらなかった。

意外であったのが、TB1eのVブレーキが一番軽かった事。

とはいっても私の実測ではどれも大して変わらず、という結果であった。

シマノが誇るDEOREグレードのVブレーキ「BR-T610」は素晴らしかった

Vブレーキ本体のみの交換でこんなにも制動力が変わる事があるなんて、正直驚いた。

ノーブランドの安いVブレーキが付いていた安いクロスバイクから、シマノのALIVIOグレードVブレーキが付いている今のクロスバイクに乗り換えた時も、物凄い制動力がアップして相当驚いた。

しかしその時はブレーキ本体以外にも、ブレーキレバーやブレーキシュー、そしてホイールもシマノ製のより良い物に変わった。

なので制動力が上がったのはブレーキ本体の影響も大きいというのは分かってはいたが、純粋にブレーキ本体のグレードアップのみでどれくらい制動力が上がるのかをはっきりと感じ取るのは難しかった。

そして今回の検証ではっきりした。

Vブレーキ本体のみをより良い物に変えるだけでも、大きく制動力が上がる事はあると確信した。

それまで使っていたVブレーキが何であるのかにもよるが、やはりシマノのVブレーキは凄かった。

DEOREグレードもALIVIOグレードもどちらも素晴らしい。

しかしこの記事執筆時点では、この二つの価格差はあまり無いので、どちらか迷うくらいならDEOREグレードの「BR-T610」を選んだ方が気持ち的にも良いかと思う。

ALIVIOグレードの方を選んで使ってみて、その素晴らしさを感じ、

じゃあDEOREグレードの方はどんなもんなんだろう…

と気にするくらいなら、最初からDEOREグレードの「BR-T610」を選んだ方が良いんじゃないかと個人的には思う。

みなさまもご自身に合った最高のブレーキを見つけて頂ければと思う。
そのためにもこの記事が参考の一つになれば幸いだ。

ご精読頂きありがとうございました。

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