2023年7月27日からフードデリバリー業界主要4社の内の一つ「menu」でも配達員報酬のダイナミックプライシング化が始まった。
配達員へ提示される報酬額が状況に応じて随時動くシステムが、フードデリバリー界でのダイナミックプライシング。
Uber Eats とWoltでは既に導入されているシステムであり、
2023年8月1日からは出前館でも最低報酬額400円を基準としたダイナミックプライシング化がされたので、これでフードデリバリー業界主要4社全てでダイナミックプライシング制が始まった事になる。
この記事では新しくmenuで始まったこのダイナミックプライシングのシステムについて書いていこうと思う。
menu新報酬システムのオファー画面
これまでのmenuの場合、このようにオファー画面に報酬額が表示される仕様では無く固定の計算式の元で報酬額が算出されていた。
しかしオファー画面に報酬額がいくらになるのかの表示がされていなかったので、固定の計算式によってその案件がいくらになるのかというのがオファー画面の時点では分からない仕様だった。
オファー画面の時点で金額がはっきり分かるようになった点は配達員にとってはメリットかと思う。
新たな報酬の計算式と変更前の計算式
menuの報酬の計算式を今回の変更前と変更後で比較すると、次のようになる。
つまり基本報酬の仕組みが大きく変わるという事だ。
基本報酬のダイナミックプライシング化と言える。
基本報酬の最低額は「330円」です。
変更前の基本報酬の仕組みというのは下記のような固定の計算式によって算出されていた。
menu「基本報酬」(仕組みの変更前)=配達完了ごとに得られる「回数報酬」(260円)+「走行距離報酬」
固定の計算式によって決まった報酬額を確実にもらう事が出来ていた仕組みが撤廃され、随時状況に応じて額が動く仕組みとなる。
この計算式を見て私が感じた、重要な点を次に書こうと思います。
基本報酬が不安定になりランクボーナスの意味が不透明になる
menuにはランク制度がある。
配達件数を重ねるごとに経験値(EXP)を獲得でき、経験値をどれだけ貯めたかによって決まる「ランク」によって基本報酬に掛けられる倍率が決まる。
その倍率によって基本報酬に上乗せされる報酬がランクボーナスだ。
上記画像で言えば右上の「116%」の表示がランクによる倍率を意味する。
つまり「116%」が表示されているこの場合は「B4ランク」である事を意味する。
menuのランク報酬
- 通常エリア配達1回:20EXP
- ロングエリア配達1回:30EXP
- Good評価1件:30EXP
- その日1回目の配達:50EXP
このランクというのは、
「過去8週間+今週の獲得経験値(EXP)」によって決まる。
以前のmenuの仕組みでは基本報酬にプラスされる「ランクボーナス」というのは、報酬の内のかなり大きな割合を占める存在で重要な物であった。
例えばA1ランクの配達員の場合、上記表を見るとランク係数は(1.20倍)となっている。
A1ランクの場合で基本報酬が600円であったのならその600円にランク係数の1.20倍が掛かり、ランクボーナスは120円になるという事(つまり合わせて720円の報酬)。
しかし新報酬システムの計算式をよくご覧になって頂きたい。
新報酬システムではランク係数の掛かる元となる「基本報酬」が随時動く仕組みとなる。
ぐ…ぐぬぬ…
つまり、一生懸命日々のmenu配達でランクを上げたところで、基本報酬をいくらにするのかmenu側で自由に動かすことが出来てしまうため、ネガティブな見方をすれば本当にその案件その案件でランクボーナスがきちんと上乗せされて意味を成しているのかが分からなくなる。
ランクが高くても、その時その時でその分基本報酬を下げてしまえば、ランクボーナスの意味はもはや無くなると言える。
これはあくまでネガティブに捉えるならの話です。
ランクが高いからきちんと報酬がランクが低い場合よりも上がっている可能性もあります。
ただ、ランクがきちんと意味を成しているか不透明になってしまったという事です。
ランクボーナスにより、確実に報酬額が上がる事がはっきりしているのは「最低報酬額のみ」になるという事です。
例えばmenuの場合、シングル配達(一件配達)で330円の最低基本報酬額ですが、これにランクによるボーナスが上乗せされた額がその配達員にとっての最低報酬額となります(下記参照)。
例:シングル配達(一件配達)の最低報酬額
B1ランク配達員の場合
330円×1.10倍=363円
本当にランクボーナスの威力が発揮され、価値が出てくる時というのは「基本報酬」が高くなった時だ。
ランクボーナスが計算される元となる「基本報酬」が高くなった時にこそ、ランクボーナスもウンと高くなって上乗せされるのがmenuのランクボーナス。
例:基本報酬額の違いによるランクボーナス額の違い
B1ランク配達員の場合
基本報酬1000円×1.10倍=1100円(ランクボーナス額100円)
基本報酬330円×1.10倍=363円(ランクボーナス額33円)
このように同じランクであっても基本報酬が高くなった時にこそ、ランクボーナス額も大きくなる仕組みである。
なのでランクを上げていく事により、最低基本報酬(330円)にランクボーナスが上乗せされて最低報酬額が上がるのは確約されるとしても、基本報酬が高い時のような大きなランクボーナスにはつながらない。
つまり、基本報酬のダイナミックプライシング化によって、大きなランスボーナスがきちんともらえているのかどうかはっきりしなくなってしまった。
menuの報酬の仕組みはどうなっていくのか
menuの新報酬システムも始まったばかりなので最初の内は極端に報酬額を上げたり下げたりし、各状況でどれくらい仕事を回せるのか試してきたりもすると思う。
ただ2023年2月までの報酬の仕組み(今回の変更前の変更前、つまり2つ前の仕組み)ではmenuは高報酬をくれる報酬条件の良い会社であったと感じている。
この時までは会社側としてもまだまだ投資段階で報酬が良かったのだろう。
今回menuでもダイナミックプライシング制が始まり、これからの報酬がどのように落ち着いていくのか見守っていきたいと思う。
ご精読頂きありがとうございました。
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