この記事執筆時点から見ればだいぶ前に始まったシステムにはなるが、2024年の6月からUber Eats では複数名の配達パートナーに対し一斉に同一のオファーを送る「配達依頼レーダー」のシステムが始まった。
Uber Eats では配達稼働している人達の事を「配達パートナー」と呼びます。
複数の配達パートナーに対し、一斉にオファーが送られるというシステムはそれまでのUber Eatsでは存在しなかった。
しかしこの「配達依頼レーダー」が始まった事により、ある案件を複数名の配達パートナーへ同時にオファーをする、というシステムも始まった事になる。
もちろん個人へのオファーも引き続き多くある状況ではある。
今回の記事では、この配達依頼レーダーについて書いていこうと思う。

配達依頼レーダーは、オファー画面に表示される「申込みボタン」を一番早く押した配達パートナーがオファーを受けれる「早押しシステム」では無いかと言われたりもしていますが、Uber Eats 側は「早押しシステムでは無い」と公式の情報としてはっきりと言っています。
実際はどうであるのか、配達依頼レーダーを経験してみた私個人の見解も含めて書かせて頂こうと思う。
配達依頼レーダーとは

配達依頼レーダーのオファー画面
配達依頼レーダーは2024年の6月からUber Eats ドライバーアプリ(配達パートナー用アプリ)で始まった新しい仕組みだ。
配達依頼レーダーについて、Uber Eats からの公式メールでは次のように説明されている。
これまでは、配達依頼は1度に1人の配達パートナーにのみ送信されていました。
しかし、その配達パートナーが、受信した配達依頼に応諾するまでしばらく時間を要する場合がありました。また、配達パートナーがある配達依頼に応じなかった場合、稼働を開始するには次の配達依頼を受信するまで待機するしかありませんでした。
「配達依頼レーダー」により、1度に数人の配達パートナーに複数の配達依頼を共有できるようになりました。
配達パートナーは、今までは見ることができなかった複数の配達依頼を確認することができます。
「配達依頼レーダー」を確認し、希望する配達依頼にだけ申し込むことができるのです。
Uber Eats 公式メールから引用
これは、2023年9月に行われた配達パートナー対話会での、「複数のオファーの中から最適な1件を選んで受注できるようにしたい」という配達パートナーの声に応えるための機能になっているとの事だ。
当ブログのこの記事は2025年3月末に書いているが、私の場合、正直この公式メールの内容とはだいぶ違う状況になっている。
「数人の配達パートナーに配達依頼が送られる」というのはその通りだが、「複数の配達依頼を共有出来る」という状況はほとんど無い。
配達依頼とは配達パートナーに送られる「案件」「オファー」の事だ。
複数の配達依頼では無く、一つの配達依頼が複数の配達パートナーに対して送られている事がほとんどという状況だ。
それまでのUber Eats では、注文が入り、その案件のオファーをどの配達パートナーに割り振るかとなった時に、誰か一人の配達パートナーのみにオファーが送られる「個人へのオファー」のみのシステムになっていた。
もちろんその配達パートナーが案件を受諾しなかったとしても、また次、また次、と個人へのオファーとして誰か一人に送られる。
その仕組みのままでいて欲しかった、というのが私個人の本音ではあるが、配達依頼レーダーが始まった事により複数名への同時オファーも始まった事になる。
「個人へのオファー」と「配達依頼レーダーのオファー」のスマホ上の画面や音の違い
個人へのオファーの場合と配達依頼レーダーのオファーの場合の、スマホ上でのオファー画面や音の違いを、画像や一覧表にすると次のようになる。


「限定」 マーク | ボタンに表示される文字 | ボタンの色 | ボタンの 表示時間 | オファー音の 鳴り方 | 拒否ボタン(バツボタン) | |
---|---|---|---|---|---|---|
個人へのオファーの場合 | 有り | 承諾 | 緑 | 30秒程度 | オファーが入っている間 ずっと鳴る | 有り |
配達依頼レーダーの オファーの場合 | 無し | 申込み | 黒 | その時による | オファーが入った時に 短い時間(1秒未満)だけ鳴る | 有り |
スマホ上での表示や音の違い
個人へのオファーの場合、オファー画面には「限定」の文字が表示され、画面下部には緑色の「承諾」ボタンが表示される。
時期によって違いがあるが、この記事執筆時点での自転車配達パートナーである私の場合、承諾ボタンを押す事が出来る時間はオファー画面が表示されてから30秒程度。
オファーが入った時の音も、個人へのオファーではオファーが表示されている間の30秒程度は「ピロリロリ〜ン♪」と鳴り続ける。
そして画像のように、緑色の承諾ボタン上に表示されるゲージが右から左へ動いていき、残り何秒ほどでオファー画面が終了するのかが分かるようになっている。
ゲージがボタンの一番左側まで行ったら、オファー画面が終了するという事だ。
配達依頼レーダーでは黒色の「申込み」ボタンになっており、あと「何秒程度ボタンを押せる時間が残されているか」を示す表示というのは無い。
ただ、自分が申込みボタンを押さずに放置し、他の配達パートナーも誰も申込みボタンを押さず、マッチングされる配達パートナーが決まらなければ、そのオファーの表示は20秒〜30秒程度で自動で消える。
配達依頼レーダーでは最初に「ポポポンッ♪」と1秒にも満たない短いオファー音でオファーが入った事を知らせてくれるが、配達依頼レーダーのオファー画面が表示されている間、ずっと鳴り続けるような音では無い。
このように個人へのオファーの場合と、配達依頼レーダーのオファーの場合とでは、スマホ上の表示や音といった部分で分かりやすい違いがある。
公式メールの「よくある質問」に書かれていた内容
最も重要な点「早押しでは無い」
Uber Eats からの公式メールには色々と配達依頼レーダーについて書かれているが、その中でも超重要とも言える点を紹介しようと思う。
公式メール内の「よくある質問」という部分に次のように書かれていた。
Uber Eats 公式メールより引用
Q配達依頼レーダーの配達依頼のマッチングはどのように決定されますか? A配達依頼レーダーによるマッチングはランダムに行われます。
一番早くタップした配達パートナーが配達依頼を受け付けるわけではありません。
さまざまな要素を含めて決定されていますので、配達依頼を一番にタップしなくてはと思う必要はありません。

このように、Uber Eats は一番早く申込みボタンをタップした(押した)配達パートナーが選ばれるわけでは無いとはっきり言っている。
つまり「早押しでは無い」という事を意味する。
そしてもう一つの重要な点は、配達依頼レーダーのマッチングは、「様々な要素を含めて決定されていますので、配達依頼を一番にタップする必要はありません。」と言っている部分だ。
公式メールの文章には「マッチングはランダムに行われる」と書いてあるが、「様々な要素を含めてマッチングされる配達パートナーが決まる」とも書いてあるので、全ての配達パートナーに平等に当選確率があるという意味でのランダムでは無いと分かる。
その他の「よくある質問」
公式メール内の「よくある質問」に書かれていた、その他の点についても紹介しようと思う。
Uber Eats 公式メールより引用
Q配達依頼レーダーの配達依頼を拒否または見送ることはできますか? Aはい、できます。配達依頼レーダーの配達依頼に対して複数回申し込むことも、通常の配達依頼同様に拒否・見送ることも自由に選択することができます。
Uber Eats 公式メールより引用
Q配達依頼レーダーは、個別に受信する配達依頼に何か影響がありますか? Aいいえ、影響はありません。これまで通りに個別の配達依頼を受信することができます。配達依頼レーダーは、従来の選択肢に加え、より多くの選択肢を配達パートナーに提供することを目的としています。
Uber Eats 公式メールより引用
Q配達依頼レーダーからの配達依頼と通常の配達依頼を区別する方法はありますか? A普通の配達依頼では、配達依頼の左上に「限定」と書かれたアイコンが表示されます。配達依頼レーダーの配達リクエストにはそのようなアイコンは表示されません。
実際に経験してみて分かった配達依頼レーダーで起こる事
自分がマッチングされない時に起こる事

配達依頼レーダーのオファー画面では、自分以外の誰かの配達パートナーにマッチングされた時点で、上記画像のように、
このリクエストには別のドライバーが
マッチングされました
と、表示されてすぐ終了するようになっている。
この、「このリクエストには別のドライバーがマッチングされました」の表示がされる時の状況にはその時その時で違いがあり、
- 配達依頼レーダーのオファーが来てから、すぐに表示される時
- 配達依頼レーダーのオファーが来てから、数秒、数十秒と経過してから表示される時
がある。
自分が申込みボタンを押したか押していないかに関わらず、両方の時がある。
配達依頼レーダーのオファーが入り、それにすぐ反応して申込みボタンを凄く早く押したとしても、自分がマッチングされない時というのは普通にある。
それも、そのようにして凄く早く反応をしてボタンを押してから、数秒、数十秒と待たされた後に自分以外の別の配達パートナーがマッチングされる、という事が普通にある。
もし早押しシステムであるのなら、自分が押してから数秒、数十秒と待つ時間なんて必要無いはずだ。
早く押している自分がとっととマッチングされれば良いという話になる。
自分がマッチングされる時に起こる事
そして配達依頼レーダーで自分にマッチングされる時でも、その状況には違いがあり、
- 申込みボタンを押したら、すぐに自分にマッチングされる時
- 申込みボタンを押してから、数秒、数十秒と時間が経過してから自分にマッチングされる時
がある。

申込みボタンを押すのが凄く遅くなった!
となった場合でも、自分がマッチングされる時というのは普通にある。
ここも早押しのシステムでは無い事を感じ取りやすい場面だ。
実際に配達依頼レーダーを自分で経験してみて起きたこれらの現象も踏まえ、分かったことを次に書こうと思う。
配達依頼レーダーではあらかじめ各配達パートナーに「優先順位」が割り当てられている
配達依頼レーダーを実際に私が経験して起きた現象や、配達依頼レーダーの仕組みに関するUber Eats からの公式の説明内容を元にして考えると、配達依頼レーダーの仕組みは次のようになっていると思われる。
- 配達依頼レーダーを送られた配達パートナーにはあらかじめ、マッチングされるための「優先順位」がそれぞれに割り当てられている
- その時その時で最も優先順位の高い配達パートナーが申込みボタン押した時点で、すぐさまその配達パートナーにマッチングされる
- そうしてマッチングされる配達パートナーが決まった時点で、配達依頼レーダーを送られた全員のオファー画面が終了する(拒否ボタンを押した配達パートナーのオファー画面はすでに終了している)
という仕組みになっているのだと思う。

各配達パートナーに割り当てられた
優先順位のイメージ画像
この画像ではUber Eats のロゴを中心としているが、おそらくレーダーは注文の入った加盟店を中心とし、その加盟店から出来るだけ近い距離にいる複数の配達パートナーに送られている事が多いはずだ。
遠くにいる配達パートナーに依頼するのは、Uber Eats からすれば時間の面でも報酬の面でもコストがより大きく掛かってしまう。
優先順位に関しては各配達パートナーの、
- 位置情報
- 使用車両
- 渋滞状況などの交通状況
- 評価率
といった要素から決まっているのだと思われる。
Uber Eats からの公式説明文にあった、「マッチングされる配達パートナーは様々な要素を含めて決定している」というのは、こういう事だろう。
配達依頼レーダーでのマッチングは、
- 一番早くタップした配達パートナーが配達依頼を受け付けるわけでは無い
- 様々な要素を含めて決定している
という公式の説明は間違い無いと言える。
どんなに急いで申込みボタンを押した所で、自分より優先順位の高い配達パートナーが申込むか拒否するかが決まるまでは、自分はマッチングされない。
一方で自分の優先順位が一番高い時であれば、仮に自分より優先順位が低い配達パートナーが配達依頼レーダーに猛スピードで反応して申込みボタンを押していたとしても、自分が申込みボタンを押すのか拒否するのかの選択をオファー画面が表示される20〜30秒間程度は待ってくれる。
その場合でもし自分が申込みボタンを押せば、すぐに自分にマッチングされる。
つまり先に猛スピードで反応して申込みボタンをすぐに押した優先順位の低い配達パートナーが、猛スピードですぐに押したからという理由ですぐにマッチングされるわけでは無い。
Uber Eats が公式説明分で言っている事は、そういった仕組みになっているという事だと思う。
なぜ早押し案件だと思われてしまう場合があるのか?
ネット上でもちょくちょくではあるが、

今日は配達依頼レーダーの早押しに勝てなかった!
といった事を言っている方々を見かける。
Uber Eatsからの配達依頼レーダーに関する公式の説明分をまだあまり読んでいないという方々や、配達依頼レーダーをまだあまり経験していないという方々の場合だと、早押しだと思ってしまう場合もあるかと思う。
なぜなら配達依頼レーダーが来ても、自分が申込みボタンを押す間も無く、あっという間に案件が別の配達パートナーにマッチングされてオファー画面が消えてしまう時も普通にあるからだ。
それで、

早く押さなかったのが原因だ!

早く押せばどうなるか分からなかった!
と、スピード勝負の案件だと思ってしまうのだろう。
しかし先述してきたように、それは早く押さなかったのが原因では無く、その案件での優先順位が自分より高い人がすでに申込みをし、マッチングされたからだと考えるのが妥当だ。
つまり、もしその案件で自分が誰よりも早く申込みボタンを押していたとしても、自分はマッチングされなかったという事になる。
つまり無駄に「早く押そう」と集中をし、神経を削っていた事になる。
それどころかもし運転中でもついつい早く押そうという意識が働いてしまえば、危険性、事故率が上がる事になってしまう。
Uber Eats の狙ねらい
先述したように、Uber Eats は配達依頼レーダーを導入した意図について、2023年9月に行われた配達パートナー対話会での、「複数のオファーの中から最適な1件を選んで受注できるようにしたい」という配達パートナーの声に応えるためだとしている。
確かにそういう理由もあるとは思うが、実際は複数のオファーの中から最適な1件を選んで受注できる場面というのは少ない。
では配達依頼レーダーを導入したUber Eatsの狙いは何なのか?
私は主に次のように感じている。
- 配達パートナーの早期マッチングのため
- 報酬額の高額化を防ぐため
当然一人ずつ順々にオファーを送る個人へのオファーよりも、複数名へ一度にオファーを送る配達依頼レーダーの方が、配達パートナーを早期にマッチングしやすくなり、配達の遅れを防ぎやすくなる。
そしてUber Eats では、配達パートナーのマッチングが遅れている案件であるほど、配達パートナーに支払う報酬額が高くなっていく傾向にある。
こういった高額案件は、配達パートナーの間では、「マグロ(高額報酬)」や「クジラ(超高額報酬)」と言われる。
こういった「配達遅れ」や「配達パートナーへ支払う人件費の高額化」を防ぐ、といった事が配達依頼レーダーを導入した意図としてあるのではないかと思っている。
急いで押すのは配達パートナーにとって損失でしかない「配達依頼レーダー」
早く申込みボタンを押しても無駄なのに、早く押さなきゃと神経を削られ、最悪の場合は事故にも繋がるなんていうのはとんでもない損失でしかない。
配達依頼レーダーは
早押しでは無い
というUber Eats からの公式の説明文を、改めて念頭に置きながら配達稼働をする事が大切だ。
実際私は配達依頼レーダーの案件であっても、個人オファーの場合と同じように急がずボタンを押している。

急いでいないけど、たまたま押す事をすぐ出来る状況にあって押すのが早くなる時はあります。
配達依頼レーダーの案件だから急いでボタンを押す、という事はしない。
急いで申込みボタンを押したおかげで自分がマッチングされた、と感じる事が無いからだ。
配達依頼レーダーのオファーに申込むのであれば、オファー画面が自動で消えるまでの20~30秒後までに申込みボタンを押せば良いという気持ちでいる。
先述したように、もしそれで20秒~30秒経たずしてオファー画面が消えた場合は、それは自分以外の最も優先順位の高い配達パートナーが申込みボタンを押したという事。
つまりそこで自分が誰よりも早く申込んでいたとしても無駄であったという事だ。
- 申込みボタンを早く押してもマッチングされない
- 申込みボタンを遅く押してもマッチングされる
配達依頼レーダーではこのどちらのケースも多々あるという事によっても、早押しのシステムでは無いという事を感じ取る事が出来るだろう。
みなさまも安全第一の配達を心掛けて頂ければと思う。
ご精読頂きありがとうございました。
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